鍼ってマイナーでどんな効果があるのかあまり知られていない・・
そこで今回は鍼が生体にどんな効果をもたらすのか書いていこうと思います。
鍼の効果は大きく分けて4種類あります。
①血流が良くなる
怪我をした時にその部位が熱を持って赤くなるのは皆さんご存知だと思います。
あれは壊された細胞から「ココ傷付いたから救護班呼んで!」と信号が各所に送られ、白血球や酸素、栄養を運ぶたくさんの血液がその場所に集まって来るためです。
この反応を利用したのが鍼です。
微細な傷を付けることで新しい血液を呼び込み、凝り固まった筋肉に栄養を届け、溜まっていた老廃物を押し流し筋肉が元気になるようにします。
血流が悪いと細胞に酸素などが届かないため、筋肉の働きが悪くなり次第にコリとなっていきます。そうなると筋肉内を通る血管や神経を締め付け、痛みを感じる様になります。
②鎮痛効果
え、鍼って鎮痛効果があるの?形は痛そうなのに。
そうなんです。形で敬遠される鍼ですが、実は痛みを抑える効果があるんです。
何故か?それは鍼の刺激で私達の体に元から存在する内因性鎮痛機構が働くようになるためです。
内因性鎮痛機構とは、痛みを和らげる仕組みのことです。
体内には、がんの痛み止めに使う医療用モルヒネと似た作用を持つ内因性モルヒネ様物質があります。
それが脳内や脊髄に作用して、痛覚閾値(痛みを感じるボーダーライン)を上げて痛みを感じにくくします。
この働きを起こすには筋肉まで鍼を入れることが大事で、患者さんにはズーンとした重い、だるい感覚があります。
最初はビックリする感覚ですね。
③自律神経を整える
自律神経とは私達が意識していなくても体内の機能を調節してくれる神経で、交感神経と副交感神経の2種類があります。
交感神経は活動時、副交感神経はリラックスした時に高まる神経と思ってください。
2つの神経はお互いバランスを保ちながら体内の器官を支配し、外の環境が変わっても常に体内環境を一定に保とうとします。
しかし一方の働きが強すぎるともう片方の自律神経の働きを弱めてしまい、頭痛やだるさ、下痢等の症状として表れます。
そのため鍼で外部からの刺激を体に与えることで、内部の恒常性(外の環境に対し常に体内を安定に保とうとする)に必要な自律神経を間接的に刺激します。
そうしてバランスを整えることで症状の改善が期待できます。
④免疫力アップ⤴
鍼刺激により先程の自律神経が免疫に関係のあるリンパ腺や脾臓にいるNK細胞(白血球)を活性化させます。
また、血流に乗って白血球が集まり臨戦態勢を取ります。私達の体は鍼を異物と認識し、戦う味方の数を増やして排除しようと動くのです。
なんの訓練もしない軍隊と何回も訓練した軍隊ではいざ侵入があった時の反応の速さが違います。
この訓練が鍼の役割でもあるのです。
ここまで長々書きましたが簡単に言うと鍼治療というのは、ワザと小さな傷をつけ生き物が元々持っている治癒力を引き出して利用する手技ということです。
上記の反応は鍼治療の強さ(鍼の太さ、深度、本数、手技)に比例します。
そのため当鍼灸院では日本鍼より少し太めの中国鍼を使いたくさん打ちます。
そうして多くの新しい血液を患部に呼び込み代謝を高め、痛みを取り除く狙いがあるためです。
街に鍼灸がくっついた接骨院やマッサージ院は数あれど患者さんが注文するのは大体マッサージ。
鍼は形から怖がられますが、マッサージよりも血流が良くなり、腰痛などの運動器系疾患によく効きます。
マッサージでは痛みが取れない方はこの機会にぜひ鍼を試してみて下さい。